研究課題

電子移動反応に基づくネットワーク型分子電子機能の創出

研究目的

分子スケールエレクトロニクスを実現するには、現在のシリコンデバイスをそのまま単一分子の働きに対応させるのではなく、個々の分子が働きながらもネットワークとして協働的に働く脳のようなシステム、すなわちニューラルネットワーク(神経回路網)が適している。ニューラルネットワークでは、現在の高速、高密度、高信頼性を追求する半導体素子とは異なり、確率的な要素が集合的に働き、確率共鳴を基礎とする欠陥に寛容で柔軟な情報処理が実現している。本研究は、分子アーキテクトニクスにより、分子物質で脳類似機能を示すニューラルネットワークを構築しようとする試みである。

領域内での役割と必要性

単一分子を組織化し、機能を発現する具体的な方法論が求められている。領域内で明らかにされた単一分子の機能に基づいて、分子ニューラルネットワークの原型を構築し、分子エレクトロニクスが求めるべきアーキテクチャーの提示を行う。

研究内容

a04-2.jpg分子アーキテクトニクスにより、分子ネットワーク中に機能性分子を組み込んで、確率共鳴を基本とする脳型機能を示す分子ネットワークの構築を行う。特に以下の点に焦点を絞り、研究を進める。 1.メモリ機能-多段階酸化還元が可能なタンパクを組み込み、確率共鳴の状態遷移に基づくメモリ機能の発現する。 2.確率共鳴ネットワークに負性抵抗分子で接続して帰還回路を形成して発振動作をめざす。 3.バイアス供給-光起電力を有する分子を組み込んで、ネットワーク中に電位を供給する。

追加情報

研究課題番号:25110014  科研費データーベースはこちら

メンバー

研究代表者:松本 卓也(大阪大学 大学院理学研究科 教授)
連携研究者:大山 浩(大阪大学 大学院理学研究科 准教授)
連携研究者:蔡 徳七(大阪大学 大学院理学研究科 講師)
連携研究者:大塚 洋一(大阪大学 大学院理学研究科 助教)

Papers List

2014

[1] Conductance with stochastic resonance in Mn12 redox network without tuning [重要文献]

Yoshiaki Hirano; Yuji Segawa; Takayoshi Kuroda-Sowa; Tomoji Kawai; Takuya Matsumoto
Appl. Phys. Lett., 104, 233104, , 2014/June/09
DOI: 10.1063/1.4882160