研究課題

単一分子の物性とデバイス特性のギャップを埋める時空間オペランドX線分光の開拓

研究目的

デバイスの高性能化は、皮相的に、活性層以外の寄生領域(例:接触抵抗)の顕著な寄与をもたらす。例えば、申請者らが作製した単一分子:グラフェンのトランジスタ(GFET)の活性層(チャネル)の真性キャリア移動度はSiの100倍以上に達するが、寄生抵抗を含む外因性キャリア移動度はSiの数倍程度に留まってしまう。これは、活性層を取り囲む界面(例:コンタクト金属との界面)によりグラフェンの電子状態が変化することに起因する。活性層が極小化された単分子デバイスにおいては、この寄生領域の寄与がより一層顕著になる。 本公募研究では、このような寄生領域の寄与を解明する為に、実際に動作しているデバイスの電子状態を高分解能(40ps・<100 nm)で調べる時空間オペランドX 線分光を開拓する。

領域内での役割と必要性

・本研究は、単一分子デバイス(グラフェン・トランジスタ)の活性層と寄生領域の寄与の切り分けを可能にする。これにより、単一分子の物性とデバイス特性の直接的な関連付けが可能となる ・本公募研究で行うオペランド分光だけでなく、その他の所有している技術を領域内の他の研究に役立てる。例えば、既に行っている米田グループとの共同研究の更なる推進や、長谷川グループとの二次元磁性結晶の作製用基板としてのグラフェン提供などが考えられる。

研究内容

界面による電子状態変化に起因する物性とデバイス特性のギャップを埋めることを目的として、項目1)時空間オペランドX 線分光の開拓を行う。次に、項目2)時空間オペランドX線分光とナノ秒高速電気測定を組み合わせて、巨大な単一分子「グラフェン」のトランジスタの界面電子状態変化のダイナミクスを解明する。得られた結果をフィードバックすることにより、テラヘルツ帯で超低消費電力(0.1 nJ/bit)動作するグラフェン・トランジスタの実現へ役立てる。スクリーンショット 2016-05-11 1.09.52.png

追加情報

研究課題番号:16H00953  科研費データーベースはこちら

メンバー

研究代表者:吹留 博一(東北大学 電気通信研究所 准教授)

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