研究課題

整流特性を有するメタロ超分子ポリマーの開発と素子化

研究目的

電極界面での自在電子移動制御を目的として、整流特性を有するメタロ超分子ポリマーを開発する。非対称型の有機モジュールと金属イオンの錯形成により、双極子モーメントが主鎖の一方向に揃ったhead-to-tail構造のメタロ超分子ポリマーを合成する。得られた高分子を電極上に(双極子モーメントの向きを揃えて)垂直配向させることで、電極界面での電子移動の自在制御(整流特性の自在制御)を実現し、それを用いた整流素子を作製する。

領域内での役割と必要性

本領域は、精密な分子設計と電極表面構造設計を基本とし、光・電場・磁場によるスイッチング機能を創出するとともに、そうした機能を持つ単一分子素子をやみくもに集積するのではなく、電流信号のゆらぎやバラツキを積極的に利用するための組織化を行い、 多数の分子の恊働機能による信号処理の実現を目指している。本研究提案は、配位結合で主鎖が形成される超分子ポリマーである「メタロ超分子ポリマー」の電子物性に着目し、双極子モーメントが一方向に揃った(head-to-tail型)メタロ超分子ポリマーを新たに開発し、このポリマーを電極表面へ配列化させる手法を開拓することで、電極界面での整流機能の発現と素子化を目指している。一連の研究提案は、上述の該当領域の目的に良く合致しており、当該領域の推進に大きく貢献できると考えられる。

研究内容

(1)双極子モーメントが揃った(head-to-tail型の)メタロ超分子ポリマーの合成 単座配位部位と多座配位部位を1つずつ有する非対称型有機配位子(有機モジュール)を合成し、金属イオンと2段階で錯形成させることで、双極子モーメントが一方向に揃った(head-to-tail型)メタロ超分子ポリマーを開発する。 (2)電極基板へのポリマーの垂直配向の実現 多座配位部位(あるいは単座配位部位)を有するアンカー分子で電極表面を修飾し、ポリマー鎖をそこに結合させることで、メタロ超分子ポリマー鎖を電極表面に(双極子モーメントの向きを揃えて)垂直に配向させる。 (3)整流制御と固体電子デバイスの作製 電極表面に導入するアンカー分子を変えることで、反対向きの双極子モーメントを有するメタロ超分子ポリマーフィルムも作製する。電極界面での電子やイオンの移動速度の違いを検証し、整流作用を評価する。ユニークな本整流システムを用いた素子を作製する。higuchi2016.png

追加情報

研究課題番号:16H00973 科研費データーベースはこちら

メンバー

研究代表者:樋口 昌芳(物質・材料研究機構 機能性材料研究拠点 グループリーダー)

Papers List