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本研究では,①高い電荷移動度を有する超分子型共役配線素子合成,②機能性分子素子を合成化学的手法によりナノ空間内で繋ぎ合わせるビルドアップ型配線技術の開発,③外部刺激(光・電場・磁場)応答性分子デバイスの作製の3テーマを重点課題として行う。 現在,シリコンを基盤とする集積回路の作製には高価な装置かつ高エネルギーを要するが,本研究では,安価かつ簡便な溶液プロセスにより分子デバイス作製を行うため,省エネルギー効果は絶大であり,グリーン・イノベーションの推進に大きく貢献することが期待される。
申請者はこれまで,カップリング反応による精密合成手法を駆使し,高度に設計された超分子構造を有する分子ワイヤの合成とビルドアップ型分子配線法の開発に成功している。本研究ではこの技術を応用し,光・電場・磁場にスイッチする分子デバイスの作製を目的としているため,単一分子の組織化と新機能創成を目指す本領域の研究目的と完全に合致しており,当該領域への貢献が期待できる。即ち,最適な電極と分子との接合状態および理論的考察に基づく高電荷輸送特性を示す分子設計はそれぞれA02およびA03班と有機的に結びつくことにより,新たな知見と相乗効果が生み出されると期待される。
本研究では,まず,共役ゲスト分子の環状ホスト分子への包接と遷移金属によるカップリング反応を組み合わせた新手法により,共役鎖の両端に重合点または電極との接合部位を有する被覆共役分子の合成を行う。次に,ナノ電極に硫黄を介して被覆共役分子を化学吸着させ,電極界面に高い方向性と独立性を有する反応点を導入する。続いて,被覆共役モノマーの重合により共役鎖を伸長させ,最後に機能性分子を導入し,高効率な分子配線手法の確立を目指す。 本研究ではナノ空間内で合成反応を行い,電極から被覆共役分子を組み上げる配線を行うため,従来法に比べ,高再現性を有し大量の分子配線と電極間の距離によらない分子配線が可能である。また,各共役鎖が被覆されているため,鎖間の凝集がなく,共役鎖内での電荷移動のみが起こり,高い導電性が得られると期待できる。本研究により安価な溶液プロセスによる分子配線法およびビルドアップ型分子デバイス作製法が確立されれば,新たな微細加工技術として省エネルギー効果は絶大であり,グリーン・イノベーションの推進に大きく貢献できる。 その他の研究項目として,①被覆分子ワイヤをカーボンナノチューブ(CNT)で被覆し,サラウンドゲート型分子トランジスタの作製を試みる。②P型及びN型半導体特性を示す被覆分子ワイヤと発光分子を基板に挟み込むことにより単電子発光素子の開発を試みる。③被覆分子ワイヤを配線後,分子ワイヤの共役鎖と環状分子の連結部位を開裂させ,環状分子が共役鎖に沿ってシャトリング可能にする。次に,環状分子側の開裂部位に荷電体を導入し,電極間の電圧変化により環状分子を任意の方向に移動させ,人工イオンチャネルを作製する。④共役鎖及び環状分子に酸化還元部位を導入し,環状分子のシャトリングを利用した分子メモリを作製する。
研究課題番号:16H00965 科研費データーベースはこちら合成化学的分子配線法を基軸とする外部刺激応答性分子デバイスの作製(2014-2015 研究課題番号:26110514)
Jun Terao; Youhei Konoshima; Akitoshi Matono; Hiroshi Masai; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji Beilstein J. Org. Chem., 10, 2800 - 2808, 2014/11/28DOI: 10.3762/bjoc.10.297
Jun Terao; Yasushi Tsuji J. Incl. Phenom. Macrocycl., 80, 165 - 175, 2014/12/01DOI: 10.1007/s10847-014-0381-y
Hiroshi Masai; Jun Terao; Yasusi Tsuji Tetrahedron Lett, 55, 4035 - 4043, 2014/07/23DOI: 10.1016/j.tetlet.2014.05.078
Hiroshi Masai; Jun Terao; Satoshi Makuta; Yasuhiro Tachibana; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji J. Am. Chem. Soc., 136, 14714 - 14717, 2014/10/02DOI: 10.1021/ja508636z
Jun Terao; Kyouhei Homma; Youhei Konoshima; Masateru Taniguchi; Manabu Kiguchi; Yuuki Kimoto; Masayo Horikawa; Yasuhisa Naito; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji Bull. Chem. Soc. Jpn., 87, 871 - 873, 2014/08/15DOI: 10.1246/bcsj.20140082
Jun Terao; Takuro Hosomi; Hiroshi Masai; Wakana Matsuda; Shu Seki; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji Chem. Lett., 43, 1289 - 1291, 2014/08/05DOI: 10.1246/cl.140365
Jun Terao; Yusuke Chiba; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji Chem. Lett., 43, 1374 - 1376, 2014/08/05DOI: 10.1246/cl.140391
Hiroshi Masai; Jun Terao; Shu Seki; Shigeto Nakashima; Manabu Kiguchi; Kento Okoshi; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji J. Am. Chem. Soc. , 136, 1742 - 1745, 2014/02/05DOI: 10.1021/ja411665k
Jun Terao; Kyohei Homma; Youhei Konoshima; Rika Imoto; Hiroshi Masai; Wakana Matsuda; Shu Seki; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji Chem. Commun. , 50, 658 - 660, 2014/01/21DOI: 10.1039/C3CC47105E
ビルドアップ型分子配線を基軸とする機能性分子素子の作製
研究目的
本研究では,①高い電荷移動度を有する超分子型共役配線素子合成,②機能性分子素子を合成化学的手法によりナノ空間内で繋ぎ合わせるビルドアップ型配線技術の開発,③外部刺激(光・電場・磁場)応答性分子デバイスの作製の3テーマを重点課題として行う。 現在,シリコンを基盤とする集積回路の作製には高価な装置かつ高エネルギーを要するが,本研究では,安価かつ簡便な溶液プロセスにより分子デバイス作製を行うため,省エネルギー効果は絶大であり,グリーン・イノベーションの推進に大きく貢献することが期待される。
領域内での役割と必要性
申請者はこれまで,カップリング反応による精密合成手法を駆使し,高度に設計された超分子構造を有する分子ワイヤの合成とビルドアップ型分子配線法の開発に成功している。本研究ではこの技術を応用し,光・電場・磁場にスイッチする分子デバイスの作製を目的としているため,単一分子の組織化と新機能創成を目指す本領域の研究目的と完全に合致しており,当該領域への貢献が期待できる。即ち,最適な電極と分子との接合状態および理論的考察に基づく高電荷輸送特性を示す分子設計はそれぞれA02およびA03班と有機的に結びつくことにより,新たな知見と相乗効果が生み出されると期待される。
研究内容
本研究では,まず,共役ゲスト分子の環状ホスト分子への包接と遷移金属によるカップリング反応を組み合わせた新手法により,共役鎖の両端に重合点または電極との接合部位を有する被覆共役分子の合成を行う。次に,ナノ電極に硫黄を介して被覆共役分子を化学吸着させ,電極界面に高い方向性と独立性を有する反応点を導入する。続いて,被覆共役モノマーの重合により共役鎖を伸長させ,最後に機能性分子を導入し,高効率な分子配線手法の確立を目指す。 本研究ではナノ空間内で合成反応を行い,電極から被覆共役分子を組み上げる配線を行うため,従来法に比べ,高再現性を有し大量の分子配線と電極間の距離によらない分子配線が可能である。また,各共役鎖が被覆されているため,鎖間の凝集がなく,共役鎖内での電荷移動のみが起こり,高い導電性が得られると期待できる。本研究により安価な溶液プロセスによる分子配線法およびビルドアップ型分子デバイス作製法が確立されれば,新たな微細加工技術として省エネルギー効果は絶大であり,グリーン・イノベーションの推進に大きく貢献できる。 その他の研究項目として,①被覆分子ワイヤをカーボンナノチューブ(CNT)で被覆し,サラウンドゲート型分子トランジスタの作製を試みる。②P型及びN型半導体特性を示す被覆分子ワイヤと発光分子を基板に挟み込むことにより単電子発光素子の開発を試みる。③被覆分子ワイヤを配線後,分子ワイヤの共役鎖と環状分子の連結部位を開裂させ,環状分子が共役鎖に沿ってシャトリング可能にする。次に,環状分子側の開裂部位に荷電体を導入し,電極間の電圧変化により環状分子を任意の方向に移動させ,人工イオンチャネルを作製する。④共役鎖及び環状分子に酸化還元部位を導入し,環状分子のシャトリングを利用した分子メモリを作製する。
追加情報
研究課題番号:16H00965 科研費データーベースはこちら
合成化学的分子配線法を基軸とする外部刺激応答性分子デバイスの作製(2014-2015 研究課題番号:26110514)
メンバー
Papers List
2014
Jun Terao; Youhei Konoshima; Akitoshi Matono; Hiroshi Masai; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji
Beilstein J. Org. Chem., 10, 2800 - 2808, 2014/11/28
DOI: 10.3762/bjoc.10.297
Jun Terao; Yasushi Tsuji
J. Incl. Phenom. Macrocycl., 80, 165 - 175, 2014/12/01
DOI: 10.1007/s10847-014-0381-y
Hiroshi Masai; Jun Terao; Yasusi Tsuji
Tetrahedron Lett, 55, 4035 - 4043, 2014/07/23
DOI: 10.1016/j.tetlet.2014.05.078
Hiroshi Masai; Jun Terao; Satoshi Makuta; Yasuhiro Tachibana; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji
J. Am. Chem. Soc., 136, 14714 - 14717, 2014/10/02
DOI: 10.1021/ja508636z
Jun Terao; Kyouhei Homma; Youhei Konoshima; Masateru Taniguchi; Manabu Kiguchi; Yuuki Kimoto; Masayo Horikawa; Yasuhisa Naito; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji
Bull. Chem. Soc. Jpn., 87, 871 - 873, 2014/08/15
DOI: 10.1246/bcsj.20140082
Jun Terao; Takuro Hosomi; Hiroshi Masai; Wakana Matsuda; Shu Seki; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji
Chem. Lett., 43, 1289 - 1291, 2014/08/05
DOI: 10.1246/cl.140365
Jun Terao; Yusuke Chiba; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji
Chem. Lett., 43, 1374 - 1376, 2014/08/05
DOI: 10.1246/cl.140391
Hiroshi Masai; Jun Terao; Shu Seki; Shigeto Nakashima; Manabu Kiguchi; Kento Okoshi; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji
J. Am. Chem. Soc. , 136, 1742 - 1745, 2014/02/05
DOI: 10.1021/ja411665k
Jun Terao; Kyohei Homma; Youhei Konoshima; Rika Imoto; Hiroshi Masai; Wakana Matsuda; Shu Seki; Tetsuaki Fujihara; Yasushi Tsuji
Chem. Commun. , 50, 658 - 660, 2014/01/21
DOI: 10.1039/C3CC47105E