研究課題

プロトン-強相関パイ電子複合系における協働的電荷ダイナミクスのノイズ分光

研究目的

本研究では,分子内プロトン結合を有する単一成分分子性有機導体において,プロトンダイナミクスと協力・協働的に交差結合するパイ電子系電荷ダイナミクスが誘起する特徴的な電荷ゆらぎを非線形電気伝導および伝導ノイズスペクトロスコピー手法によって検出し解明する.このようなプロトン-パイ電子の交差ダイナミクスと同期した電子機能性の創出を目指して,制御された外部ノイズの重畳による確率共鳴現象の発現を実証し,信号増強・伝達機能性の開発を行う.本物質をモデルとしたプロトン-パイ電子系交差ダイナミクスの理解を進めることで,分子アーキテクトニクスの理想形の一つである分子集積体としての生体系物質で実現している高効率な機能性(電子情報伝達,エネルギー移動)の解明と獲得に向けて,ミクロな電子物性物理の観点からのアプローチを行う.

領域内での役割と必要性

これまでに研究・理解が進展している強相関パイ電子系に対して,空間的なプロトン運動という局所的な古典的・量子的構造変調が電子相転移を協力的に引き起こす点が新しい電子機能発現の起源として新しい.このような分子内構造ダイナミクスが階層的にパイ電子系クーロン相互作用を介してマクロな電子応答に至る伝達過程は,本領域が目指す分子集積による機能発現の目標に対して,プロトンダイナミクスとパイ電子の交差結合による新たな機能性発現の提案となるものであり,領域研究の推進に貢献する.

研究内容

単一成分分子性有機導体のプロトン(重水素)ダイナミクスと連動した電子秩序相転移近傍における非線形電気伝導,ノイズ発生の観測を行う.さらに,これら電子応答に対する外場印加を行い,信号伝達特性・非線形伝導性の評価と確率共鳴現象の探索を行う.並行して確率共鳴的に搖動増強されたプロトン移動ダイナミクスの直接観測を目指した赤外光学スペクトル測定を行う.これらの実験研究を実施するために,これまでの強相関電子系電荷ダイナミクス研究において構築したノイズ計測技術を発展させて,外部ノイズ印加およびノイズからの非線形信号抽出の計測技術開発と電子系確率共鳴現象の解析方法論の構築に重点的に取り組む.図1.png

追加情報

研究課題番号: 16H00954 科研費データーベースはこちら

メンバー

研究代表者:佐々木 孝彦(東北大学 金属材料研究所 教授)

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